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文系Webプログラマの備忘録

2016参院選: 私が日本共産党へ投票する理由

目次

理由

党員だから

私は2004年に日本共産党へ入党しています。
現在は会合にはずっと顔を出していませんが党員であることに変わりはないので、この選択は当然といえば当然です。
入党前からずっと共産党に入れてましたが、2003年の総選挙で、当時の民主党から立候補していた北橋健治さんに入れたことが一度だけあります。
どうしても自民党候補(三原朝彦さん)の当選を阻止したくて。
でも結局、三原さんは比例で当選したんですが。

自民党が二度も争点隠しをしているから

2014年の争点隠し

安保法制の成立までの出来事。

  1. 2014年7月に憲法解釈を変更。集団的自衛権行使を容認。
  2. 2014年12月の総選挙では経済が争点となり、自民党が勝利。
  3. 2015年9月に安保法制が成立。

私は、2014年12月の総選挙では自民党は集団的自衛権についてあまり触れていなかったと記憶しています。
下記の公約でも防衛の扱いは小さく、「集団的自衛権」という言葉は出てきません。

しかし選挙後の記者会見では、安倍首相は「安保法制と集団的自衛権行使容認についても支持をいただいたので、法案を提出して成立をはかりたい」という趣旨の発言をしています。

まず安全保障法制についてでありますが、今回の選挙はアベノミクス解散でもありましたが、7月の1日の閣議決定を踏まえた選挙でもありました。そのことも我々しっかりと公約に明記しています。また、街頭演説においても、あるいは数多くのテレビの討論会においても、その必要性、日本の国土、そして領海を守っていく、国民の命と安全な国民の幸せな暮らしを守っていくための法整備の必要性、閣議決定を基にした法整備の必要性ですね、集団的自衛権の一部容認を含めた閣議決定に基づく法整備、これを来年の通常国会で行っていく、それを訴えてきた訳であります。このことにおいても、ご支持をいただいた訳でございまして、当然約束したことを実行していく、これは当然政党政権(「政権政党」の言い間違い?)としての使命であろうと思います。来年の通常国会、しかるべき時に法案を提出していきたいと、そして成立をはたしていきたいと、こう考えています。

2016年の争点隠し

憲法改正について、安倍首相は6月19日の党首討論で以下のように述べています。

自民党は結党以来、憲法改正を掲げている。憲法改正を考えている人が集まっているのが自民党憲法を変えるが、どの条文かというのは決まっていないので、(今回の選挙では)議論できない。憲法審査会で議論していく」

前述の公約一覧でも一貫して改憲を唱え、2012年には草案もまとめ上げたというのに、「どの条文かというのは決まっていないので議論できない」と避けるようでは、争点隠しと批判されても仕方ないと思います。

2014年の衆院選と同じく、勝利後に「改憲についても支持をいただいた訳で」と、他の政策で得たはずの支持を都合よく解釈するつもりではないでしょうか。
2015年の派遣法改正と同じく、解釈や整備される法律によっては国民にも利益がありそうだと感じるような条文で改憲を発議するつもりではないでしょうか。
2014年の憲法解釈変更と同じく、そのあいまいな条文を強引に解釈するつもりではないでしょうか。
2015年の安保法制と同じく、その強引な解釈に基づいた法律を成立させるつもりではないでしょうか。
そして2014年、2016年と同じく、選挙ではそれらに決して触れないつもりではないでしょうか。


補足

自民党の街頭演説を聞きました

6月25日に小倉駅前で共産党の街頭演説を聴きました。
その際、「26日に首相夫人の安倍昭恵さんが来る」というポスターを見かけました。
正直に言って、私は今まで自民党の街頭演説を聴いたことがありません。
昔、首相になる前の安倍晋三さんが黒崎駅前で演説するのを見に行きましたが、すぐに聞くのをやめて家に帰りました。
今回の選挙は私としては危機感が強く、こうしてブログの記事を書いて訴えることも考えていました。
そして、自民党が本当に改憲に触れていないのかどうか、批判する前に確かめておかなければとも感じていたので、翌日も小倉駅前に行ってきました。

安倍昭恵さんは首相夫人とはいえ政治家ではないので、政策への言及はないだろうと予想していました。
ただ、おそらく候補者の誰かと一緒に来るはずなので、そちらに期待していました。
現れたのは比例候補の自見はなこさん。
現役の医師ということで、医療や国民皆保険に関する話ばかりでした。
応援演説を務めた市議、県議、代議士の方々も、医療や候補者の人となりに関することばかり。
しかし、これは仕方ないと思います。
自民党の支持者は幅広く、党の公認を得るための競争があり、各支持団体としては公認候補なら誰でも一生懸命応援するというわけではないでしょうから、候補者も応援議員も、演説内容が支持団体に関連する分野に絞られるのは自然でしょう。
対して共産党はマイナー野党ですから、党の政策を知ってもらうために演説時間のほとんどを割くことになります。
両者の演説を単純に比較することはできません。
結局、自民党の政策や姿勢を知るということについては、何の参考にもなりませんでした。

2016-07-03

(追記)
自民党の街頭演説が再び小倉駅前で催されたので聴きにいってきました。
大家さとし候補が、安保法制について言及したのには驚きました。
前日に発生したバングラデシュでのテロの影響でしょうか。
なお、選挙後の明文改憲の予定については触れませんでした。

38:50 (中国の海洋進出について述べた後)「こういう事態を我々は他人事と受け止めることはできないんです。日本の国を経営する者として、国家を預かる立場として、我々は今の憲法の中で、どうやったら日本の国民とその生命と領土領海領空が守れるか、きちっと示させていただいた戦争をしないための法律。そしてその法律を作ることによって、それを北朝鮮にも中国にも世界にも知らしめることによって抑止力を高めたいと、まさしくそういう意味で、いろんな批判を承知で真正面から受け止めたのが、昨年の9月19日の平和安全法制の成立だと、是非みなさん、喜んでいただきたいと思うんです」

集団的自衛権の一部行使容認の解釈は、現行憲法の範囲内では断じてない、と私は考えています。
また、周辺国の脅威を理由に政府の強権発動を許すことは、国防とはまた別の危険をはらみます。
従来の憲法解釈と法律でも対処できますし、安保法制成立後も中国の出方が変わったようには思えません。
結局、対米従属が深まっただけだと思います。

とはいえ、自民党としての主張を明確に直接聞けたのは本当に良かったです。
この演説内容はしっかり記憶しておこうと思います。

共産党への不満

共産党も完全無欠な存在ではありません。
私も、手放しで信奉しているわけではありません。
安保法制を「戦争法」と呼ぶのはやめたほうがいいと思っています。
不当な印象操作やレッテル張りだと非難されても仕方ありません。
「アベ政治を許さない」と人名をカタカナ表記するのも失礼です。
アベノミクス」とは違い、「こんな政権に漢字を使うのはもったいない」という理由でカタカナにしているそうですから。

共産党の藤野議員が防衛費について「人を殺すための予算」と発言しました。
(参考: http://www.sankei.com/politics/news/160626/plt1606260016-n1.html)
これも、普段から他者を悪しざまに表現するクセをつけたせいで、頭の中での理解も知らず知らずに影響されてしまったのではないかと思います。
こんなところで失点して、本当にもったいない…。


まとめ

共産党にもさまざまな問題点があり、「共産党に政権を任せれば大丈夫!バラ色の未来が待ってるよ!」とは今は言えません。
ただ、今回の野党共闘の成立は本当に胸のすく出来事でした。
沖縄のような特殊な場所だけでというのではなく、全国32箇所の1人区で野党の統一候補を立てたことで、その目的である安保法制と解釈改憲の撤回に注目が集まり、自民党の争点隠しがやりづらくなったと思います。
国民側ではなく権力側を縛るためにある憲法の解釈を勝手に変え、選挙ではそれをひた隠しにする安倍政権は危険すぎます。
今回の参院選自民党が大敗しても、政権が野党に移るわけではありません。
安倍政権は継続できなくなると思いますが。
近代国家の根幹である立憲主義が崩れつつある異常事態に、ともかく与党に軌道修正を促すべく小異を捨てて大同団結した姿を、「野合だ」などと非難されるいわれはありません。
私は、この記事を読んでくださっている方々へ、野党統一候補への投票を自信を持って呼びかけます。